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    渡された千円札が2枚。そしてついに1に辿り着く。

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      当時のししゃもステータス状態

      2日目

      徒歩距離=25km前後
      現在地=隣の町
      HP=12/50
      そうび=高校時代のジャージ/普通の運動靴/黒の手提げ袋/腕時計/免許
      アイテム=飴/拾ってきたDAKARA(残り少し)
      所持金=35円
      状態=睡眠不足と疲労が折り重なり無駄にハイテンション
       
      森の中であっても、何処であっても野宿というのは土くれや岩でゴツゴツしていて眠りにくい。
      オマケに季節はどうであれ、夜は冷える本当に冷え込む。これは夏場であっても同じだ。
      しかしまた――野宿だからこそ感じられる…仰いだ空の広さや青さ、草花の匂い、虫の音や鳥の声というのは日常では味わえられない何かがまたあるのも事実なお話。

      そんなこんなで現在進行形で野宿生活二日目であった私は、これこそがロマンだろと思っていた。
      大自然の神秘万歳!サバイバル万歳!自由って超すばらしい!普通に妨害恐れずに眠れるのって何って気持ちがいいんだろう!?
      傍目から見たら残念な子?そんなの気にしない!
      だって今私すっごく「生きてる」って感じがするもの!

      ―――思えば足もパンパンにむくんでまるで棒の様な感覚しか無い上に疲労が凄いことなっていたし、ろくに二日で数時間程しか眠れてもないし、オマケに昨日から掘り出して入手したDAKARAぐらいしか口に入れたものって結局無かった。もう夢なんだか現実何だかワケの分からんフワフワした足取りで落ち着かなかった癖に…

      きっと極限状態で麻痺をしていたんだろう。ドーパミンやらアドレナリンやらいっそ脳内麻薬エンドルフィンやら色んな物が脳内で活発に分泌されていたに違いない。

      一先ずそれは置いといて。


      時間だけは唯一持って来ていた腕時計で確認をしていた。
      確か寝たのが朝四時過ぎ、起きたのが六時過ぎだったと思う。澄んだ空気の中で目を覚ませば朝日が昇っていた。
      「捜索」というとてつもなく気がかりな件もあるし、何より人様の神社の境内で寝るっていうのはやっぱり失礼なので…すぐさま起き上がって、なけなしの10円を賽銭箱に入れてからお参りをして神社から外へ出ることにした。

      暗いときはわからなかったけれども来た道を見渡せば閑静な住宅街が其処には広がる。家の中から美味しそうな魚を焼く匂いや、子供の笑い声が聞こえてきて―― 一瞬立ち止まりかけるけど、振り向かずにただ前へ進んだ。今は自分の感情に左右をされてはいけない。

      自分の心を無視するのなんて慣れているし、何より感情じゃ、お米も買えやしないんだから。その考えは未だに引きずってきているのだけれども。

      取り敢えず今日は第一に派遣へ登録し、出来れば派遣の方で住み込みの仕事が無いか聞くこと。
      その為には図書館を探し、最悪住み込みが出来なくても自分の身を休める場所を確保しとくこと。
      それをしなければならないんだ。

      一歩一歩、道路沿いにある看板を目印に自分の街とはまた違う景色を眺めながら先へ歩いた。更に四時間をかけて、通りすがりの人たちに教えてもらって漸く図書館へ辿り着く。
      しかも目の前には何と幸運な事に派遣の登録所があるではないか!

      まずは一安心。でもこれから。
      だから図書館で、体を少し休めることにした。野宿時にゴツゴツとした地面よりは何十倍にも柔らかくて温かいソファや椅子があるし、大好きな本も山のようにあるだろうから。
      今ぐらい好きなことをしよう。だからずっと読みたかった本をいっぱい持って来て、何よりも幼い頃に買ってもらった大好きな漫画も何冊か持ってきた。

      ハムスターの、漫画。

      あの歳が読むのにはあまりにも幼いかもしれない。でも人目なんて気にはしなかった。8年間読めなかった分だけいっぱい読んでやろうとパラパラとページを捲る。
      でも不思議なことに笑えなくって、何も内容が頭に入ってこなくって、読めば読むほど

      「何故私の人生はこうなったのか」
      「一体どこで、間違えてしまったんだろうか」
      「原因はどこにあったんだろうか」

      そう考えては涙が止まらなくて、物凄く惨めで居てもたってもいられなかった事をよく覚えている。
      幼い日の楽しかった頃に過去に囚われて、もう前へ進めなくなりそうで怖くて…だから急いで本を閉じて派遣へと向かうことにしたんだ。

      やがて図書館を後にした私は一呼吸置いて、勇気を振り絞り派遣登録所への扉を開いた。
      其処に居たのは登録所スタッフの女性二人。私の身なりを見て驚いていたようだったが今はそんな事を気にする必要なんてない。
      だから第一声に

      「仕事を探しています。住み込みで働けるところはありませんか?」

      そう告げてお願いをする。向こうさんは「住み込みはあるかどうか」と最初は戸惑っていたようだったけれど、この際通報されてもいいと全てありのままの事情と経緯をお話した。勿論免許だって見せた。
      あの時どう話したのかは覚えていない、どんなやり取りだったのかも覚えていない。

      でもスタッフさんがきちんと話を聞いてくれたという事、初めてありのままを受け入れてくれたことがとても嬉しくて…。
      その後は検品の仕事を紹介してくれたり、工場勤務などのお話をしてくれたのだけれども…やはり「住める」場所ということが盲点になってしまう。だから検品の工場の面接も簡単なテストも全て受かったけれど其処がネックで結局は諦めざるをえなくって。

      スタッフさんが悪いんじゃない、派遣が悪いんじゃない、知っている。
      それでも「また振り出しなのか」って悔やんでも悔やみきれない現状にもう俯くしか出来なかった。色々な手段を探してくれて必死で応援してくれたスタッフさんも、気づけば就業時間を当に過ぎていて

      「やっぱり家に帰ろうか。あたしが色々説明してあげるから。」

      そう、ポツリと呟いた。
      ああそれしかもう無いのかもしれない。その時点でもうすっかりと脱力仕掛けていた、気持ちもあったけれど…
      でもまた振り向くのか?って、此処まで来て馬鹿じゃないのかって思いの方が強くって

      「無理です。なら歩いて別の場所を探します。県の中心部まで行けば前にしていた仕事の知り合いがあるんで。そこを目指します。」
      って頑なに拒んで、首を振るの繰り返し。兎に角必死だった。必死すぎた。
      何を言ったのかもやっぱり覚えていないくらいに一生懸命だった。

      そんな子供みたいに駄々をこねる私にスタッフさんも疲れたのかもしれない。
      扉を開けて出て行く。きっと、「好きにしなさい」って「もう知らない」って無視されるんだろうなって思っていたけれど―――

      次に聞こえた言葉に、私は耳を疑う。

      「じゃあ、行こうか。
       おいでよ乗せてってあげるから―――駅まで。」

      耳を疑う。
      そして不意と茶封筒を一枚渡された。
      開けてごらんって、笑いながら促されて見ると

      千円札が二枚。

      「行きの電車代と、後向こうで美味しいものを食べて。それ以上の事は出来ないから。
       負けたらダメだよ、ちゃんと生きるんだよ。きちんと、自分を貫いて。
       私は其れが出来なかったから。」

      ――――声が震えて出てこなくって、涙も止まらなくって、それでも何度も何度も何度もその場で頭を下げて下げて…、ありがとうございますって馬鹿みたいに繰り返していた。
      ここ8年、初めて声を上げて泣いた気がする。

      そのときにこの人が居なかったら今の私は居ないんだろう。

      あの時何処の馬の骨とも分からない子供に、手を差し伸べてくれた貴女へ。

      今元気にしていますか?
      お子さんや旦那さんはお元気でしょうか?
      どうもありがとう、ございました。いつか、いつか、きっと逢いにいきます。
      立派になって逢いに、いきます。

      先へ行かせてくれてありがとう。
      未来へ私を、生かせてくれてありがとう。

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